早指必勝定跡破 可章馬全書 (神變 鞍馬八流)著者:野田圭甫発売所:東京可章馬研究會 発行日:大正15年11月5日発行 |
「可章馬」とは3手目▲7七桂と跳ねる、今日で言うところの「鬼殺し」である。
3手目▲7七桂と跳ねる戦法は、大正4年の『將棊はめ手千態』土居市太郎編に「平手(先手七七桂
はめ手)」として掲載されている。また、大正5年の『奇謀珍手將棋はめ手 附中飛車定跡』將棋
新報社編には「平手曲將棊」として掲載されており、解説に「此曲將棋は阿波國の棋客高安氏(四段)
の案出せしもので有りまして」と、考案者の名前もある。以上の記述が最古とは限らないが、少なく
とも戦法自体は野田圭甫の「可章馬」より前から存在していたわけである。
戦法の歴史的な考察はともかくとして、ここでは様々な「可章馬」の指し方を紹介したい。
なお、表紙には「早指必勝定跡破 可章馬全書(神變 鞍馬八流)」とあり、書名としたが、扉は
「定跡破早指奇襲 可章馬必勝法 (神變 鞍馬八流)」となっている。
内容は手順のみで図面は掲載されていない。
盤上再現にあたって、変化手順は割愛した。
後手番の場合、原書は初手三四歩として先手方を可章馬にしているが、再現盤では後手方にした。
原書に、右、左、成、不成等の記述がない箇所があり、また、符号が誤っているものは、推測した。
巻末に、「可章馬附屬 新曲 妙圖巧 全 四處雪隠都詰」として、14局の詰将棋が収録されているが、
割愛した。